ITリテラシーが低いことで有名な不動産業界ですが、近ごろ不動産テックというワードが流行ってきています。
そこで、不動産業界に精通している私が、現在の業界の事情も交えて不動産テックについて解説したいと思います。
各業界の各企業がITを意識していく中で、金脈と言われているのが不動産業界です。
フットワークの軽い他業界と比較して、不動産業界は古くからの慣習や習わしが多く、テクノロジー化による業態変動は、難しいと言われています。
これは私が不動産業界とかかわっていく中で感じたことですが、不動産業界に生きる人間は、企画、立案という分野が苦手です。
言い方を変えれば、考えることや生み出すことができない。
逆に、実行力という観点では非常に強い業界ではあります。
生み出すことよりも実行力=営業力が重要とされる業界ですので、考えるよりも行動すべしが業界理念みたいなところがあります。
・企画:苦手
・立案:苦手
・実行:得意
テクノロジーとは考えることです。
実行力の比重が大きい不動産業界のIT化が遅れている大きな要因はここにあると言えます。
では、なぜ今不動産テックが話題になっているのか!
それは、不動産業界ではなく、他業界による不動産業界への進出が盛んに行われているからです。
不動産テックの推進は他業界により行われている
まずはこちらの画像を見てみてください。
※リマールエステート作成のものを引用
こちらの画像は、リマールエステート社が作成した、現在の不動産テックカオスマップになります。すごくよくまとまっており、わかりやすい表です。
これを見てわかる通り、不動産テックの中心にいる企業のほとんどが他業界であり、不動産会社はほぼありません。
一番身近でわかりやすいところでいえば、スーモやホームズですね。
これら二つのサイトは賃貸物件を探すときにお世話になった方も多いのではないでしょうか。
不動産を探す上でかかすことができないサイトですが、これらのサイトの運営企業は、㈱リクルートと株式会社LIFULLであり、不動産会社ではありません
なぜ、不動産をメイン事業として扱う会社から活気的なサービスが生まれないのか?。私が考えるに理由は大きく2つあります。
・独自の情報という概念
・年齢層が高い
それぞれ触れていきたいと思います。
独自の情報という概念
不動産業界は物件の売り買いで成り立っている業界です。
売り買いを行うために必要なものは物件情報、、、。
営業マンは日夜この物件情報を求めて不動産業者、一般のお客様、一般の法人様を訪れています。
この物件情報を仕入れることが、営業マンに下されているミッションなのです。
そして、物件情報といってもスーモやホームズに登録されているような誰でも知っている情報では意味がありません。
彼らが多大な時間をかけて得ようとしている情報とは、広く一般的に誰でも知っている物件情報ではなく、自分だけの情報。
もっというと、自分だけしか知らない情報がほしいのです。
自分だけの情報を得るために必要なのはテクノロジーではなく、人脈や営業力といった元来ビジネスマンに必要とされると言われている能力です。
広く一般的な情報公開を趣旨とした不動産テックは、業界として受け入れがたいの実情です。
年齢層が高い
不動産は物件の売り買いという言ってみれば単純な商売の世界になりますので、おじいちゃんでもおばあちゃんでも人脈と物件を仕入れるルートさえ確保できれば仕事をすることができます。
現に、引退した後のお小遣い稼ぎで不動産のブローカーになる人は一定数います。
取引の活性化という意味ではブローカーがいても良いと思いますが、やっかいなのはこの手の層はパソコンはもちろん、エクセルで関数ひとつ組めないほどITリテラシーが低いことです
未だにfaxを使っている世代ですからね。
この手のブローカーは上述したように引退した人間が多いため、50代~60代、もっと上だと70代までいます。
これらの層が不動産のテクノロジー化推進の妨げになっているのは確かでしょう。
まとめ
不動産テックの推進の妨げになっている同業界の慣習を覆さない限り、テクノロジー化の進歩は遅れるばかり。
まずは、一人ひとりがITというものを理解するところからがスタートだと思います。
大手企業は施策の一つとして不動産テックが予算組されていますから、自ずと大手の社員は不動産テックへの理解が深まっていく中で、中小零細企業及びビジネスマンがそれにどう対抗していくかが、今後の課題になっていくと思います。
以上、「不動産業界のITリテラシーの低さは異常!不動産テックはIT業界が中心となっている現状について解説してみた。」でした。