住宅メーカー大手の積水ハウスが63億円もの大金を地面師にだまし取られた事件はご存知のことと思います。ただ、「地面師」ってあんまり聞きなれないワードじゃないですか?。
不動産仲介会社や住宅メーカー、ディベロッパー、ブローカーは聞いたことあるけど、地面師って何??って人結構多そう!
ということで、今回はこの不動産業界にはびこっている「地面師」について、わかりやすく解説したいと思います。
地面師とは
地面師とは、他人の不動産をあたかも自分のものだと偽って第三者に売却したりする詐欺師のことを言います。
「他人の不動産を勝手に売却できる??」ってお思いになる方もいるかと思いますが、不動産売買に必要な書類が整えば、他人の不動産であっても売買するかとが可能です(もちろん違法ですよ)。
不動産売買に必要な大まかな書類は下記の通り。
・実印
・印鑑証明書
・登記識別情報
・住民表
等。※これらは抜粋です。実際はもっとたくさんの書類が必要になります。
これらの書類を盗まれてしまったりすると、自分が知らないところで不動産を勝手に売却されてしまったりします。
ただ、最近の地面師やそれに近い詐欺師などは、上記の書類を盗み出して事を起こす手口よりも、書類を偽造して買主を騙し、手付金や売買代金を搾取することがほとんどのようです。実際に積水ハウスが63億円だまし取られた事件は、書類を盗み出したのではなく、偽造書類を作成してみたいですから。
万が一地面師から不動産を購入してしまった場合、明らかな落ち度がある場合を除いて、その取引は無効となります。
無効にはなりますが、手付金や売買代金の一部などを支払ってしまっている場合、そのお金は返ってきません。一般的には地面師は、不動産を決済する前に姿を消してしまいますので、取り立てようにも相手がいないので取り立てることができないからです。
じゃあ、完全に泣き寝入りするしかないのか?というとそんなことはありません。下記のことを気を付けてさえいればよっぽどのことがない限り騙されることはありません。
①売主-買主直取引はしない
②信頼できる仲介会社を間に入れて取引を行う
③売主が大手企業でない限り、契約時の支払いは手付金にとどめ、中間金は支払わない
不動産の取引は、仲介会社を間に入れて行うようにしましょう。仲介会社を間に挟んでいれば、地面師の被害にあったとしても仲介会社に仲介責任を問うことができます。
地面師が姿をくらましたとしても仲介会社に仲介責任に基づいた損害賠償を請求することができる場合があります。
ただ、仲介会社もグルの可能性もありますので、業者選びは慎重に行う必要があります。
自分の友達や信頼できる人からの紹介等、安心して取引を任されることができる業者を選ぶようにしましょう。
また私が特に一番気を付けるべきだと思うことは、③の中間金の支払いについてです。
不動産会社は契約破棄をさせないように手付金と中間金を求めることが多いです。よっぽどのお金もちでない限り、手付金と中間金を放棄してまで売買契約を白紙に戻すなんてことしないからですね。業者としては買主を強く縛ることができるため、安心して取引を行うことができます。仮に白紙解除されたとしても、手付金と中間金は手に入るわけですから万々歳です。
積水ハウスが騙されたのは、五反田の物件
余談ですが、積水ハウスが63億円だまし取られた物件は、JR山手線「五反田」駅徒歩3分程にある海喜館という物件です。
約600坪の広大なまとまった土地で、不動産業界では有名な物件でした。
今までどこの業者も手を出さなかったのは、所有者が「売らない!!」っと一点張りだったため、商品として成り立たなかったからです。
ちなみに今回積水ハウスが購入を検討し、実際に買付を出した上で、63億円払ってしまったわけですが、この物件を検討していた業者は積水ハウスだけではなかったというのは、業界の秘密のお話し。
実際は、積水ハウス以外の大手不動産業者が、この物件を検討していました。勇み足で商談を進め、積水ハウスが被害にあったわけですが、もしかしたら全然違う業者が被害に合っていた可能性もあります。
まとめ
地面師の被害に合わないためには、とにかく慎重な姿勢で物件を検討することが大切です。不動産業者の甘い話に乗せられないで、「こいつは私を騙そうとしているじゃないか?」くらいのスタンスで、行くくらいがちょうどいいです。特に不動産は価格が高いですから、万が一の時に取り返しがつきません。
以上、「積水ハウスもだまされた!不動産業界ではびこる地面師について解説!要はただのブローカーです。」でした。